豚革(ピッグスキン)について

学術名:SUS SCROFA DOMESTCUS

国内で唯一自給自足できる天然皮革で東京で約八割が生産されています。国内の皮革用以外にも最近では、生の豚皮を塩蔵し海外のタンナーへの輸出する量が増え続けており、原皮の供給が乏しくなりつつあります。それに伴い国産品の稀少価値が増しつつもあります。特徴は三つの毛穴が開いていて、貫通している為、通気性に優れており、靴のインナー材として最適です。

最近はそれだけにとどまらず、表面の強さや強度において多方面に多く使用され始めている素材です。

革自体1枚でみると首筋からお腹の中心を通ってお尻まで開かれていて、両端に乳腺があり、縦の中心線は背筋になります。シボの出ているスムース面が表皮(毛があったほう)が吟面(銀面)として使われ、裏側の肉面がスエードに使われます。


豚革(ピッグスキン)素上げ仕上げの吟面拡大画像
豚革(ピッグスキン)素上げ仕上げの吟面拡大画像

豚革全身
120〜160DS前後

各商品に厚さを記載していますが、馬革・豚革は従来皮がそれほど厚くはありません。無理に厚みを取ろうとすると、肉部分に筋肉(繊維)スジのニベと言われる箇所も含まれてしまう恐れがあります。ニベは鞣しを終えたすぐには製品に影響を及ぼすことはありませんが、時間の経過とともに伸ばした繊維が元の形に戻ろうとし製品の成型に悪影響を与える可能性があります。

当社豚革の厚さは0.6〜0.8mmが基本です。背通りやお尻はやや厚く0.8mm、お腹周り(乳首方向)や首に向かうほど薄く0.6mm位の厚さになります。それ以上厚みを出すには、植物タンニンを使い繊維を膨張させて1.4mm近くの厚さまでだせますが個体差によって膨張具合も異なってきます。(タンニン剤を使用しての厚さ平均値は1.2mm位です)
豚の皮膚は、最も人間に似ており、頭の方が一番柔らかくお尻に向かうほど堅くなっていきます。コラーゲンなどの繊維密度が違う為に起こり、同時に質感も場所により異なります。

素上げ仕上げの場合、繊維密度の違いにより濃淡が一枚の中でも出てきます。一種の天然皮革の持ち味です。
当社で扱っています豚革は、特になめしによるコメントがない場合は、クロムなめしの革になります。
 
皮革は人間と一緒!(簡易的な伸縮率)つまり、成長が止まっている状態で身長は伸びません。頭からお尻にかけては伸縮が少ないです。
お腹周り→背中からお腹にかけては伸び率が高いです。勿論、首・手・足と長さは変えられませんが、太くなったりはできるために、その方向には革は伸びます。またダキと言われる部位(脇下・股下)可動率の高かった場所は、方向によってはよく伸びますので、使用の際にはご注意して下さい。また斜め裁断(斜め方向)も革は伸びます。
 

色のブレ幅について

素上げ仕上げは、染料染めですので1枚1枚に浸透する度合いが異なりますので、1番色ブレが生じやすい商品になります。
ラッカー仕上げについては、ツヤ・濃淡で多少のブレは生じます。
パール・メタリックは、濃淡にて色調が左右されやすい商品。濃淡とツヤ(パール使用量)にて色ブレが発生します。


白色の紙から仕上げるのとは違く、革を鞣す際に使う薬品において元色が薄いブルー系、またはベージュ系の色目になります。また個体差(元色の肌目が濃い、淡い・浸透しやすい、しにくいなどの違い)により全く同じブルー色、ベージュ色にはなりません。
濃い・淡いとまちまちです。1枚の中でも部位により濃淡があります。工場の染色担当者の永年の経験でも色ブレはあります。
上記の元色をベースと考えたらラッカー系・パール系の商品は両隣くらいの色ブレは当社では許容範囲としています。
また色調整の難しい素仕上げにおいては元色から両サイドに1つ目から2つ目いかないくらいの所までを許容範囲としています。御許容下さい。

許容範囲の幅が広い素上げ仕上げとは染料染めになります。特に個体差により同じロットの革でも(同じドラム=タイコで仕上げた商品でも)、さらに上記でも記していますが1枚の中でも尻部、背通りと頭、手足の場所では濃淡が出てしまう為、色出しを継続するにあたって1番難しい商品が素上げ仕上げの商品となります。
色ブレが他の仕上げより起きやすい為に時には許容範囲を若干超えることもあります。
素染め以外の仕上げでも豚革には吟面(表面)に凸凹がありますので、多少発色加減は難しく馬革のラッカー仕上げより若干
ブレの範囲が大きくなります。勿論、各色・各仕上げにて、色ブレ無く提供出来るよう生産工場共々努力を重ねております。
全ての豚革の商品において元色から両端に3つ先の色までブレることはまずございません。
このような場合は入荷時の検品において再仕上げの依頼をしています。
しかしながら個体差があるものですので、革1枚1枚で作るパーツを考えてご使用頂けたらと思います。

 
(一部 東京都立皮革技術センター 参照)
「革について」
  1. 革とは 
  2. 革の特性と注意点
  3. 原皮の種類 
  4. 製品革のバリエーション 
  5. なめしによる革の種類 
  6. 革の仕上げ方法 
  7. 革の出来るまで 
  8. 学術名 
  • 当社扱いの馬革(ホースレザー)について
  • ライニングレザーって?
  • 本革は畜産廃棄物を有効活用したエコでサステナブルな天然素材

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